純情ももいろ日記/中田雅喜

廣済堂文庫  1999.11.1初版

エッセイ漫画の先駆けとして知る人には良く知られたらしい
『ももいろ日記』上下巻の合冊文庫版です。
ある程度の年齢の方にはこの方の事を今更紹介しなくても…
良い、でしょうか?(汗)JUNEにシリーズ掲載作を持って
いらっしゃいました方です。
……結構赤裸々に性についてあれこれ描いていらっしゃいます
ので多少の抵抗を感じる方もいらっしゃるかと思います。
が、その中でちらりと光るJUNE連載に纏わるあれこれを読むだけ
でもこの一冊を手にして良いと愚考します。
                   (2003.9.8)

COMIC美少年 小説JUNE10月号増刊 

マガジンマガジン  1997.10.5発行

JUNEの看板であった『竹宮惠子のお絵描き教室』SPECIAL的な中身の増刊号です。
懐古趣味を気取る訳ではありませんが、JUNEを飾っていたのはやはり美少年
だったのだな、としみじみ思いました。醸し出される色香には美少年故の
寸止めという薬味が振りかけられていましたし。
時代が変わった、と切り替えるのは簡単です。
でも、変えられないものもあるのだという事は忘れずに居たいものです。
                  (2003.9.8)

電脳やおい少女 1/中島沙帆子

竹書房  2002.8.6初版

働く少女えんじぇる大戦争と来てこの作品を紹介するのを忘れていました。
やおい人の日常シリーズ(と勝手に銘打つ)の中の一冊です。
この本ではネット、所謂オンラインのやおい人の日常と電脳の間での苦悩が
描かれています。コミカルに描かれては居るものの、

垣間見える嫌がらせ描写と無理解
描写はほぼ其の侭希釈なし

と思って戴ければ良いでしょう。
やおいをやってる側もそれなりに苦悩してるんですけどね…理解出来ない
ものは先ず嫌うか虐げろと言うのが所謂世間の常識って奴なんでしょうかねぇ。
当方は男だから却って大目に見て戴いているのかも知れませんが。
                   (2003.9.8)

友愛コミックガイド/美青少年探究倶楽部:編

芸文社  1994.5.5初版

主に少女漫画の中からやおいの香りのする作品を選んでガイドブックに
仕立てた…と言う感じなのですが、ガイドと言うよりはカタログですね。
どうしてもそう言う関係の漫画の知識が必要になった時のアンチョコと
して使うには適しているでしょうが、実用となると…少し考えたい所です。
                  (2003.9.9)

10年の恋/松村直紀  

ORIGINAL COMPLEX(私家版)  2002.5.5発行

まだ名前の無い恋/松村直紀  

ORIGINAL COMPLEX(私家版)  2002.8.11発行

贈る恋/松村直紀  

ORIGINAL COMPLEX(私家版)  2002.10.19発行

一冊ずつ紹介すべきなのかどうかと迷いましたが、シリーズを通しで
読んだ方がテーマが伝わり易いと思いましたので、敢えて。

ショタ漫画と言う分野は、ブームが商業先導であり、その上に乱入してきた
一部関係者の思惑が混じって、新人さんが特に育ち難い分野になってしまった
のではなかったろうかと思います。
その中でこう言う描き手さんが居た事に、とても安心しているのです。
物語展開を考えながら読める作品は、そうそうありません。
我儘なんでしょうけど、いつかこの続きが書かれたならば一読したいです。
                     (2003.9.10)

追記。
「10年の恋」がこの度商業アンソロジーに収録される運びになったとの事。
おめでとうございます。  (2004.3.7)

うみのさかなと宝船蓬莱の幕の内弁当

角川文庫  1993.8.25初版

某漫画家さんとその連れ合いさんが覆面ユニットとして編んだルポエッセイ集。
何故ここに列記しているかと言うと、彼等が彼等なりに腐心したゲイに関する
レポートが収録されているからです。
まあ、あの時代のやおいとも一切縁の無い人間の反応の公的資料としては大変
貴重なのでは無いかと申し上げておきます。描いている彼らに悪意は無いので
しょう。同時にもう一歩踏み込んで自分なりに判ってみようと言う努力も多分
無かったのでしょうが。   (2003.9.16)

BL小説(ボーイズラブノベル)パーフェクト・ガイド 
別冊活字倶楽部

雑草社  2003.9.22初版

確かにBL小説に初めて触れる方にはガイドブック的な役割を果たす
一冊かも知れません。それにしては懇切丁寧すぎますが。
ブックガイドや小説の解説集ってこんなに事細かなものだったのかなと
記憶に照らし合わせてみるとどうも腑に落ちないのですね。
きつい物言いですが、この本を読んだだけでもある程度の書評サイトは
開けてしまうんじゃないか。そんな薄ら寒さをふと感じてしまったのです。
思い過ごしなら良いのですが。   (2003.9.21)

b.p.m. ボーイズラブパラダイスマガジン 
#1 Boys GAME大特集

工学社  2001.11.25発行

やおい/ボーイズラブと言うのは、基本的にはファンタジーだと
葡萄瓜も認識しています。ファンタジーの大前提の下、皆それぞれ
夢を紡いだり夢を食べたりしているのです。
時々そのファンタジーに手垢をつけて分析したつもりになって
おられる方がいらっしゃいますが、ファンタジーと現実の物差しの
目盛りが違うのにどうしてそう見当違いな事ができるのか、
実際不思議でたまりません。

この本はそのファンタジーを紡ぐ為の手解きを極々軽くする為の
入門書と考えて良いでしょう。ここから深みに嵌るも良し、引き返すも良し。
この本から目を背ける方については、ここでは深く申し上げますまい。
                 (2003.9.23)

JUNE 1996年4月号(通巻87号)【通称ヴィジュアルJUNE】

マガジンマガジン  1996.4.1発行

JUNE本誌(通称大JUNE)のリニューアル版であり、視覚情報により特化した
内容になっての2巻目です。版もB5からA4変形とやや大きくなっております。
リニューアル版と言う事ではありますが…老舗としての妙なプライドに
縛られた気負いがまだ此処かしこに残っていると感じるのは筆者だけでしょうか?
只版を大きくしたばかりで内容としては旧態依然、思い切ってメスを入れた痕跡も
無い様に見受けられます…等と言うのは実際の所、後から過去を振り返って思う
傍観者の勝手な感想であって、当時の編集さんは暗中模索されていたのでしょう。
この発行当時は、今にして思えば動乱の時期でしたし。
ですが敢えて問いたいと思います。同じ内容は旧大JUNEでも展開可能だった筈
なのに、何故?   (2003.10.1)

別冊JUNE 1997年7月号 少年革命!?

マガジンマガジン  1997.7.1発行

大JUNEから通称ヴィジュアルJUNEを経て小JUNEと同じくA5判になってしまい
名称も『別冊JUNE』となった雑誌の通巻6号目です。
この号で特集されているのは『ショタコン』…今更特集かよ!という
ツッコミは我慢して下さい。老舗にしては良く踏み切ったものだと
筆者は感心しておりますので。本来JUNEとショタコンは近い様で遠い
位置にありましたし。これでも良くやったという方です。
そして内容を確認して又も感心致しました。ロリショタではなくて、
ちゃんとしたショタになっているのですね。作家陣が結構手練揃いと
言うのもあるのでしょうが、これは非常に良い収穫です。
惜しむらくは出版形態が雑誌である為資料として残り難いという事なのですね。
この内容で所謂アンソロジー形態になっていたなら、多少高額でも世間は
納得したと思うのですが。今からでも何らかの形で保存版が発売されて
欲しいと思う、良い内容ですので。   (2003.10.1)