本屋でOh My God! 今でこそのガイドブック
(2003.4.22)

 ショタコン語源が出発点となった資料収集に中々切が
つかない(或る小噺ショートアイズ奇譚参照)。
 資料を集めれば集める程残されずに流れている記録が
如何に多いかと言う事が際立ってしまうのだ。アンソロ
ジーは単行本と言う体裁ではあるが実質雑誌同然である
ので過去のものを集めようと思ったら(価格は兎に角)
結構骨が折れる。ましてやそれが雑誌ならば…。
 葡萄瓜が最近柄にもなくやおいに関する記録を残そう
としているのはそう言う理由からだ。やおいを文化と仮
初にも自負するならば、当事者達が何か形を残しておい
た方が良いでしょう?流行語事典で妙に歪んだ解釈を残
されて其の侭鵜呑みにされるよりも。

 と、テンションを上げてみた所で今回の主題。ガイド
ブックについてである。
 今再読してみたいと思って探している一冊がある。
 「耽美小説・ゲイ文学ガイドブック」(柿沼瑛子・栗
原知代監修/1993.4/白夜出版)だ。記憶を辿るとかなり
優れたガイドブックだったと思う。葡萄瓜はこのガイド
ブックを手掛かりにして隠れた耽美色ある小説やゲイ文
学を読ませて貰った。このガイドブックが存在しなかっ
たら今の葡萄瓜は居なかっただろう。
 葡萄瓜が確認する限りだが、此の種のガイドブックは
これ以降出版されていない。書評的なものは幾つか出た
かも知れないが、道標と言うかガイドブック的な本は確
認出来ていないのだ。「トンデモ本」ブームの際に便乗
で「トンデモやおいガイド」的な本をやおい嫌いが出さ
ないかなとチラッと思ったりもしたが、そう言う事実も
今だ確認できず。
 今のやおい界はガイドブックなしで渡れるものなのだ
ろうか?
 …かなり難しいだろうな、と思う。ジャンル内のロー
カルルールでさえも混乱していると見受けられる例もあ
る。今だ過渡期と言う事について賛否両論は当然あるだ
ろう。ましてや日本と海外の見解の相違に至っては。
 やおいとゲイ文化は別物、と割り切れるなら当の昔に
割り切られているだろう。しかし、今でこそ明らかにな
っているがゲイ文化の担い手の中にごく少数だが仮面を
被ったやおい作者達が居たと言うのも又事実。そして、
やおいに嫌悪感を抱いているゲイの人々が居る反面やお
いを読んで平静を保つゲイの人々も存在すると言うのも
又事実として存在する。もう一つ言えばゲイ文学を全く
読んでいないと言うやおいの担い手が居ないと断言する
事もできない。
 知っている様で知らない世界を彷徨う為のガイドブッ
クとしてこの書は今でも千金の価値を持つだろう。今こ
そ文庫化なりライブラリ版化と言う形で多くの人に手に
とって欲しいと思う。