性愛を書く!/色川奈緒:インタビューやおい関連

ビレッジセンター出版局  1998.10.22初版

性愛を書くという作業は、実際手を染めると難しいです。
単に性行為を描くだけと割り切ればかなり楽なんですよね。
ある程度のテンプレートはあるのですからそれの加減乗除で
済んでしまう部分もありますし。
でも、その奥を書こうと思うと、途端に難しくなります。
性の絡む関係って、支配や依存以外にも色々ありますものね。
その辺はどうなのか、という参考書にはなると思います。
作家11名が参加しておりますので。  (2003.9.30)

仕事場対談 和田誠と27人のイラストレーター

河出書房新社  2001.12.30初版

24人に対するインタビュー集と3人を交えた対談集で構成されています。
イラスト云々以前に話の内容が興味深いですね。
一つのジャンルを極めようと思ったらどうするべきか、と言う
教科書にはなるんじゃないですか?  (2003.9.30)

リリー&ナンシーの小さなスナック
/ナンシー関、リリー・フランキー

文藝春秋  2002.12.10初版

繊細辛口居酒屋、とでも改称した方が良い組み合わせかも知れません。
辛口と悪口は違うのだよ、と忘れた頃に囁いてくれる、
そんな一冊だったのでしょう。  合掌。
                   (2003.9.30)

リリカルな自画像/岡本太郎

みすず書房  2001.4.5初版

『奇』の基準とは非常にあいまいなものです。
そして人間とは常に『奇』を求めつつも『奇』を笑う事で精神の
平衡を保つという矛盾を常に体現しているイキモノなのです。
『奇』の裏側に何があるかなんて考えた事の無い方に一読を奨めます。
                   (2003.11.5)

エッシャーが僕らの夢だった/野地秩嘉

新潮社  1996.10.15初版

畏まるのも美術鑑賞、お気楽極楽も美術鑑賞。
そして絵と付合うというのは画家の一生を擬似体感すると言う事なの
でしょう。喩えそれがエッセンス程度の残留思念だったとしても。
図版多し。エッシャー愛好のお供に。  (2003.11.5)

百人一酒/俵万智

文藝春秋  2003.1.30初版

お酒、好きなんです。
量は飲めないんですけどね。あの醸し出される雰囲気と
昂揚感、そしてしみじみとした抱擁感が好きです。
読んで酔うか、酔って飲むかはお好きに。  (2003.11.13)

匂いの記憶 知られざる欲望の起爆装置:ヤコブソン器官
/ワトソン,ライアル著・旦敬介:訳 やおい関連

光文社  2000.11.25初版

動物図鑑に載っていた解剖図の記憶があるなら比較的容易に読める本ですね。
匂いというものが此処まで奥深いものだとは改めて自然に恐れ入るばかり。
此処から専門書を更に読み進めるも良し、妄想を紡ぎ出すも良し。
どちらも人間としては自然な行動かと思われます。  (2003.11.30)

一月(いちげつ)物語/平野啓一郎

新潮社  1999.4.15初版

口語体だからといってさくさく読める本かと言うとそうではありません。
文語調であっても主題の妙さえあれば読み進める事は容易です。
甘く暗く冷たいビロード菓子、召しませ。  (2003.12.9)

アラマタ珍奇館〜ヴンダーカマーの快楽〜/荒俣宏

集英社  2000.5.1初版

ヴンダーカマー、ヴンダー(驚異)+カ(ン)マー(部屋)と言う二語の独逸語
からなる言葉で意訳すれば『ビックリ箱部屋』とでも申しましょうか。
この先生が書く題材としては誠にふさわしいもので御座います。
ええ、葡萄瓜には出来ませんとも。幾ら珍奇なるからと言って骨董市で
常滑焼の大小便器一揃いを購入し、尚且つそれを据え付ける為の部屋を
設えようと目論む風雅さはついぞ持ち合わせておりません。
珍奇なるものは珍奇なる人の所に集まるのでしょう。凡俗が思い上がって
真似をするものではありますまい。
平明な解説もつき極手軽な博物学の手引きとしても宜しいこの一冊、先ずは
寝床で徒然に読んで夢の手引きとするも宜しいかと思うので御座います。
               (2004.1.2)

男の子は泣かない
/アスキュー,スー、ロス,キャロル著 堀内かおる訳

金子書房  1997.12.25初版

サブタイトルは「学校で作られる男らしさとジェンダー差別解消
プログラム」とあります。
経験論から言っても男というのは先天的に「男」な部分と教育と
環境によって後天的に「男」になる部分があるのです。ただ残念な
事に後天的に造られる男らしさというのは多分に湿り気を帯びて
いるんですね。見た目が男らしく有ればあるほど裏を見ると何とも
言えない湿り気が有る様です。野蛮&野放図=男らしさではありません。
               (2004.3.26)