中国茶の世界/周達生

カラーブックス(保育社)  1994.11.30初版

烏龍茶を始めとした『中国茶』を広く、やや深く図版入で解説した一冊。
版形の説明補足をしておきますと、文庫版図鑑と理解して
下されば宜しいか、と。
今日は偶々出先(南京町)で武夷大紅袍と言う銘柄を味わって参りましたが、
そこで感じ入ってしまったのは、中国茶は時間が勝負なのか、と言う事ですね。
ポット一杯分のお茶を味わう時間に割り当てられた時間が二十分(笑)
香りをも味わうのですから確かに熱い内でなくては意味が無いのでしょうが…
専用の朱泥の蜜柑大の急須で六煎分を飲み干す時間としては(苦笑)
閑話休題。
ここでは『中国茶』の様々な味わい方について平易な言葉で解説されています。
図版の手伝いもあるので、イメージは描き易いか、と思います。
                         (2003.2.1)

いざ言問はむ都鳥/澤木喬(さわき・きょう)

創元推理文庫  1997.5.23初版

植物を題材にしたミステリ連作集、では無く植物も主役になっている
ミステリ風味の連作集です。謎が主役なのではありません。
植物学の専門知識を話し合う内にふと紛れ込む謎と言う不協和音。
其の響きは哀しく、やがて切なく響きます。
それを淡々と、優しく描き出す筆致にふと心和まされる、そんな一冊です。
作者の筆名を聞くと、ふと物騒な作品を思い出しはしますけど(苦笑)
                          (2003.2.1)

真夏のミステリーズガイドブック(2000年度版)

講談社文庫  2000.6/7初版  販売促進配布冊子

この『煩悩讀書録』をWeb日記を利用して綴っていた頃、
扱いから敢えて外していた部類の本があります。
同人誌と無償配布冊子、パンフレットの類です。
あくまでも『入手可能・検索可能な本』と言う観点で綴っていましたから。
状況が変化したので、今回の再企画では禁を破ってみました。

この販売促進資料、葡萄瓜所属のジャンル内では結構論争を呼びました。
名探偵の身上調書と題してデータと肖像が掲載されていたのですが…、
こう言う企画に多くを望むべきではない、と苦笑するしかありませんでした。
時勢を伺わせる『動物マスコット占い』も掲載されています。
                    (2003.2.1)

時の幻影館 秘聞◎七幻想探偵譚/横田順彌

双葉文庫  1992.7.15初版

蛮カラの気風濃い明治末期から大正にかけての時代を背景に、
空想冒険科学と探偵趣味とが混ざり合った虚々実々の短編集です。
SF小説が冒険小説と称された時代の風俗の描き方も見事なら、
其の枠組みの中でのSFと推理の表現処理方法にも舌を巻きます。
実名人物と架空の人物とが混然一体となって繰り広げられる、正しく幻想探偵譚。
それは何処かしら懐かしく、又、新しく感じるものなのです。
                        (2003.2.1)

七回死んだ男/西澤保彦

講談社ノベルズ  1995.10.5初版

正しくタイトルが指し示す内容です…ってこれで終われるんなら
ここに感想を記す意味が無い(苦笑)
率直な感想を言えばこれはデジタルな物語ではありません。アナログな物語です。
アナログであるが故にこの話の仕掛けは成立し、オチも実に綺麗に収まるのです。
コピーの概念がすんなりミステリに組み込まれている…脱帽です。
                   (2003.2.2)

麦酒の家の冒険/西澤保彦

講談社ノベルズ  1996.11.5初版

……………………ビール呑みたい!!!

この本を読んだ後の葡萄瓜の正直な感想、いえ、心の叫びです。
それにしてもこの一冊の中で何回どんでん返しを味合わされた事か。
純粋に推理を愉しんでいる登場人物の輪に混じって只管呑んだくれたく
思ってしまうような誘惑…惹き込まれますねぇ。
衒学的ではなく只管現実的な好奇心、それこそがこの物語を生き生きと
させているポイントだと思います。人物像も架空の様でちゃんと
現実に居そうなタイプ揃いですし。いい酔いを味わいました。(2003.2.2)

猫の建築家/森博嗣:作、佐久間真人:画

光文社  2002.10.25初版

絵本、では有りません。絵と文の競演です。

収録の絵の中の一点『銀色のライカ』には心当りのある人が居ると思います。
画集では有りません。CDのライナーノートで。
バイオスフィアレコードAQUAレーベルから99年10月27日発売された
オムニバスアルバム『TEN PLANTS2』収録の同名曲(歌唱:みとせのりこ)の
ライナーノートで光田康典さんの曲&工藤順子さんの詞と競演していたものの
フルカラー&拡大版です。森さんによって新たな解釈が加えられています。
物語は、新たな出会いで拡がるものです。      (2003.2.2)

探偵小説 百鬼徒然袋 雨/京極夏彦

講談社ノベルズ  1999.11.10初版

著者近影と内容のギャップが愉しいですね。
京極さんのオチャラケ部分を知った今となっては、京極堂のあの
どシリアスさが懐かしくも思えると言う怪作であります。
京極堂本編の合間に気分転換として読むも良し、
影の主役の快刀乱麻に酔い痴れて読むも良し、でしょう。(2003.2.4)

猫丸先輩の推測/倉知淳

講談社ノベルズ  2002.9.5初版

版元が変わろうと猫丸先輩はやっぱり猫丸先輩。
相変わらず空惚けつつ猫のように生きておられる(笑)
今回の挿画は唐澤なをきさん。又これが妙に合ってしまうんですね。
正しく猫丸先輩ここにあり、と言う感じの短編集であります。
ホント、相変わらず人間臭すぎるし。(2003.2.4)

ライトの装飾的デザイン/
ハンクス,デヴィッド・A:著、穂積信夫:訳

彰国社  1981.2.10初版

建築家フランク・ロイド・ライトのデザイナーとしての仕事を主題とした
研究書です。収められている図版の大半がモノクロである事は残念ですが、
その図版達が伝えるのはデザイナーとしてのライトの仕事の美しさ。
人間が居ると言う前提でのデザインはハイカラで、懐かしく、時に斬新。
食器にさえ図面が引かれて居ると言うのは凄いと思います。
後期にはライトデザインの大量生産の家具も出回っていたとの事。
古き良き時代、だったのでしょうか。(2003.2.4)