世間で流布しているマザー・グースの多くは恐らく谷川俊太郎氏訳、
若しくは和田誠氏訳、或いは其の類型だと思います。
そこで描かれる訳の世界は確かに異国情緒を伝えてはくれますが、
なにか今一つ物足りない時がある。淡々としすぎた感があるのです。
其の時にふっと光るのがこの訳です。初出は大正十年刊行との事。
かなり泥臭い訳ではあります。が、スズキ・コージ氏の挿絵との相乗効果で
童謡の中に潜む暗闇まで垣間見える、と言っては言い過ぎでしょうか?
流石にミステリの中にこの訳を引用するのは躊躇われると思いますが(苦笑)
(2003.2.1)
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