同色対談 色っぽい人々/松岡正剛 (対談集)

淡交社  1998.2.25初版

色彩をテーマにした20人との対談集。図版も多く読み応えは充分です。
で、こちらの括りに入れたのは萌えのヒントがしっかりあったからでして。
萩尾望都さんとの対談には『性差の垣根を超えた色香に』に就いての、
島田雅彦さんとの対談には『男性が懐古する自分の中の少年愛感覚』に
就いての示唆が短いながらもしっかり刻まれております。
他にも色々日常のヒントにも成り得る示唆に溢れています。
                   (2003.5.28)

国際おたく大学/岡田斗司夫:編

光文社  1998.7.30初版

まあ、殆ど渡辺由美子さん執筆の『ショタの研究』目当てで
読んだ様なものですが。
その他の部分はかなり男性の視点に傾いている為多少の齟齬はある
でしょうが、改めて『おたくとは何か』を考えるヒントにはなる
だろうか、と。取扱要注意な題材もありますけどね。
                  (2003.5.28)

泰西少年愛読本/須永朝彦:編著

新書館  1989.4.20初版

BL小説本は多くなっても典雅な少年愛小説が少なくなった昨今、
やおいブーム黎明期に出版されたこの手の本の存在が妙に有り難く思えたり。

少年愛の小説集では有りますが、英国19世紀末の世界から再録した作品群の為、
濡れ場も無く緩慢な進行にもどかしさを感じる方も多いかと思います。
しかし、込められた情愛はかなり濃厚なのでは無いかと思います。
全体の三分の一を占める解説は、今の時代でも充分通ずる適切なものでしょう。
             (2003.6.26)

蝶のかたみ/福島次郎

文藝春秋  1998.11.30初版

芥川賞候補の作品を併録した一冊ですが、その事は考えずにお読み下さい。

確かにゲイセクシュアル文学としての何らかの回答になった
一冊ではありましょう。
しかし、ゲイセクシュアルの要素を敢えて除外した時に何が残るかを
考えると、文学の墓穴に一握の砂を投げ入れたくなります。
               (2003.6.26)

夜想15 特集◎少年

ペヨトル工房  1985.4.18発行/1995.7.14第6刷

今は無き出版社発行の雑誌ですが、かなり参考になる内容です。
美学という観点から『少年』に関するデータを集めた貴重な一冊。
縮刷版ではありますが『稚児草子』全文を一部図版を収録しております。
                (2003.6.26)

※この項を脱稿現在、一部取扱書店在庫は定価で取り寄せ可能です。
古書店経由で入手する場合、高騰している可能性が非常に高いので。

高畠華宵・美少年図鑑/コロナブックス編集部:編

平凡社  2001.2.7初版

昭和初期の少年雑誌誌上を飾った美少年の写し絵…眉目秀麗を
絵に描いた様な美しさが絵の一枚一枚から滲み出ています。
この先達が居た事は、この世界にとって実に寿ぐべき事でしょう。
                 (2003.6.26)

昭和美少年手帖/中村圭子:編

河出書房新社  2003.6.30初版

高畠華宵・竹久夢二の作品を多数所蔵する弥生美術館学芸員女史が編んだ
昭和の世に花開いた美少年写し絵文化の画像主体ガイドブックと言える
一冊です。無論高畠花宵の作品も収録されております。
そして面映く感じたのは石原豪人こと林月光(世間の認識は逆でしょうが)
の作品紹介もあった事です。少女漫画の世界の美少年系譜についての言及も
あり、実に歯応えのある一冊に仕上がっております。
                (2003.6.26)

このショタがすごい!/真道寺軍:総編集

少年療法試論(私家版)  1997.12.29発行/1998.5.5第2刷

何度読み返しても違和感を感じています(苦笑)
どう言うんですかねぇ…やおい陣営が作ったショタに違和感があるならあるで
ウジウジ言わずに別のショタの波を作ればいいでしょうに、という感じなんですよ。
業界内輪とは全く縁も所縁も無い一人のやおい側読み専の視点から言えば。
男が内包する女々しさをショタ関係の本読んで再自覚するとは、不覚をとられた
ものです。資料としては一読価値あり。
                  (2003.6.26)

アニパロとヤオイ オタク学叢書7/西村マリ

太田出版  2002.1.18初版

一応オタクとは縁も所縁も無く、増してややおいとは何か一切知らない人の
為に書かれた本だという触れ込みです。
……叢書と言うからには、副読本も必要なのでしょうね。でも哀しきかな、
どんな副読本が適切なのか、筆者には見当がつきません。
                  (2003.6.26)

少年愛者 神話とタブーに包まれた彼らの本当の姿を探る
/谷口玲

つげ書房新社  2003.2.15初版

テーマは非常に立派なものだとは思うのです。
しかし、読み進めて行く内に混乱だけが増えて仕方が無い一冊でもあります。
この本の重点はショタなのか、少年愛なのか、どっちなんでしょう。
表紙を見て通読する限りではショタに重点をおいている、としか思えない
のですが。   (2003.6.26)