この本を通読して真っ先に感じたのは、出口無き自分語りと
付き合う事への疲労感でした。半端な疲労感ではありません。
物語る当人の中では多少理路整然と並んだ物事なのでしょうが、
伏線みたいな仄めかしがあったかと思うとはぐらかされたり
次の機会に譲られたり、家庭内の事情の中にぽんと前触れも無く
哲学めいた文言が挟まる…読んでいる人間の事をここまで無視
して執筆できると言うのはさぞや爽快であろうかと思われます。
後書きを読んで改めて疲労。疲労すると同時に、おたくとしての
自分が抱え込んでいる業に囚われてはいかんなと言う危機感を
改めて感じました。
少なくとも資料としては良い一冊でしょう。精神論に同調できるか
どうかは別として。 (2004.8.7)
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