美少年の夜/山本タカト

イーストプレス/パピレス  2001.7.13初版

電子ブックに拠る画集です。現代の耽美浮世絵師と名高いだけあって、
その作風に唯酔うばかりです。これに関しては世間の情報に踊って
買って良かったと心底思えます。
美しいものは、時に激しく淫猥なのですね…心を乱して戻せない程に。
                    (2004.4.7)

華の碑文 世阿弥元清/杉本苑子

中公文庫  1977.8.10初版

能の第二祖の生涯を追う中で稚児の在り様を描いているのですが、
その描き方に湿っぽさは無く、それで居て艶があります。
稚児の光の部分だけを描くのではなく、影の部分をやや多めに
描いた事でむしろバランスが取れているのでしょう。
時の移ろいと共に変わる稚児の在り様もさらりと描いてあるので、
参照とするには佳品かと。一般小説としても非常に硬質で好感が持てます。
                  (2004.7.3)