娘御もすなる「やをゐ」6(2001.1.28)

 さて、葡萄瓜が自ら(ネット上で)同人活動を始める様になった
のは、葡萄瓜のネットデヴューのきっかけともリンクする。
 2000年初頭、葡萄瓜はネットを体験し出したとは言え、未だ波乗
りだけしかこなせなかった。マウス操作で入った為、文字の入力方
法を知らんかったのである。自分のPCはまだ持っておらず、そし
て、ネットに関する知識の欠片も持っていない「オヤジ予備軍」に
突入しようとしていた。
 そうこうする内に暦は捲られ5月となった。其の頃になって漸く
キーボードで言葉を打ち込む事を覚えた葡萄瓜は、モバイル機器を
借りて獲得したWebmailアドレスを名刺にして相変わらずネット上
を彷徨っていた。
 葡萄瓜樟子(当時)と名乗りだしたのは彷徨い出してから暫くし
ての事である。まあ諸事情で名前を変える必要があったのだ。当初
は暫定の名前、のつもりだった。其れが今では本来の自分の一部と
して馴染んでいるのだから判らぬものだ。
 さて、葡萄瓜として彷徨い出して、其処で運命的な出会いがあっ
た。葡萄瓜が店子としてお世話になった「建築探偵domonn」管理
人、domonnさんと其の周辺の方々との出会いである。

 この出会い、本当に偶然であった。もし葡萄瓜が「建築探偵 桜
井京介の事件簿」シリーズを読んで嵌っていなかったら…其の当時
に著者である篠田真由美先生の公式サイトが既に立ち上げられてい
たとしたら…先ず無かった出会いだろう。偶然に心底感謝したい。
 そう。葡萄瓜は本読み友達が欲しかったのである(爆)でも其処
で葡萄瓜は自分の中に眠っていた「同人魂」と向かい合うきっかけ
を掴む事になる。第2の出会い、煩悩爆裂マダム・のりぞおさんと
邪ま吟遊絵師・さくやさんとの邂逅であった。

domonnさんのBBSで色々な人とネットと言う手段でお喋りをし、
理論抜きでミステリの話を出来る喜び…何処かで味わった覚えがあ
ると思ったら、かつて書店の同人誌売り場で耳にした会話そのもの
だった。
 『そう言えば…小説、書いてないよな…』
 オリジナルの原稿は書き溜めてはいた。幾つかの新人賞に試みに
応募した事もあった。が、其の中で何処かに常に空しさを感じてい
た。今では其の正体が判る。『読者が常に自分しかいない』上に、
『其の自分が楽しめる話を書いていない』からだ、と。
 其の欲求不満の捌け口になっていたのがBBSでのお喋りであり、
幾つかのサイト(domonnさんの所も含めて)で行われていた『リレ
ー小説』企画だった。これは面白かった。葡萄瓜の投げた玉の打ち
返され方を見るだけでも随分勉強になった。独り善がりでは思いつ
かない発想も随分と参考になった。
 健全な方面からの冒険も体験し出した。さくやさんとのりぞおさ
んの作品に出会ったのは丁度其の頃。実にいい刺激だった。でも、
当初はまだ言葉を交わさず。まさか後にこうしてタッグを組むとも
露知らず。
 そして…実生活の変化をきっかけにとうとう『建築探偵』パロに
手を染める事となる。其の記念すべき第1作が、domonnさんのサイ
トにUPされ、後に自らのサイト「BDC整体院」にもUPした、
『仏様と仲違い』である。この1作がまさか本格的なネット同人の
第1歩になるなんて…描いた当時夢中で考えもしていなかった。
 後1回。それから今への道程…お付き合い下さいませ。