資料の漣 有翼少年の適正年齢
(2003.2.27)

 ダビデ関係から何となく美術系統資料(男色春画の類)を
ネットで集めている葡萄瓜ですが、今回は背中に翼を生やし
た少年について愚考なぞ。と言っても、いつもの如くですの
で(苦笑)
 先に一応区分をしておきます。
 絵画彫刻で扱われる矢を持った裸体の幼児から青年は、ク
ピド=アモール=エロス=キューピッドです。これらは天使
とは関連しません。天使と言うのはあくまでもキリスト教内
の概念です。天使が愛の矢を射て縁結び、と言うのもキュー
ピッドとの混同によるものです。天使の多くは着衣の青少年
で表現されていますしね。
 あ、エンジェル=天使ですから。某菓子メーカーのマーク
を初めとして翼の付いた赤ん坊の表現もありますが、基本は
着衣の翼を持った青少年です。神の御前で肌を晒して良いの
は無垢な子供だけでしょうし。
(横道ついでに言うとキューピー人形等で知られるあのキュ
ーピーはキューピッドをモデルに1900年代初頭にデザインさ
れたもの。検索を経てキューピーの世界に遊ぶもまた一興で
しょう)

 きっかけは非常に単純で、ダビデ像周辺収録の図録を図書
館で眺めて居た時にカラヴァッジオの『勝ち誇るアモール』
を再見したのですよ。あの絵もあの時代らしく、実に生々し
い感触の絵でしたしね。
 で、思い出したのがブロンズィーノが描いた『クピド』な
んですね。初めて観た時はクピドのイメージを覆されました
から。其れ迄赤ん坊のキューピッドしか知らなかったので。
 そこで改めて画像検索してみました。するとまあよくぞ引
っ掛かるもので、赤ん坊から青年までずらりと画像が集まり
ます。同人アンソロージ草創期のあのジャンルでも引っかか
るものがありましたねぇ。
 大体の所ギリシャ神話内で『彼』が登場する場合、『背中
に翼を生やして弓矢を持った小さな子供』と表現される事が
多いのですが、ローマ時代に作られた異説によれば彼にはち
ゃんとプシケと言う奥さんが居た事になっている。又小さな
子供と言うのはあくまでも外見上の事で、エロスと呼ばれる
時の彼は最高神ゼウスより前に、又美の神アフロディーテよ
り前に神として存在していたとも言います。
 芸術表現を観るとギリシャ時代の彫像からして見解が色々
だった様で、赤ん坊は居ないにしても幼児から青年までの彼
はちゃんと居る。で、ほぼ例外なく裸で表現されています。
その中で割と多い様に見受けられるのが思春期前半の、大人
への芽生えがそろそろ見られるだろうか、と言うお年頃の彼
の肖像。余り幼くては弓矢を扱い難いだろう、と言う事でし
ょうか?
 かと言って、青年神として描かれる事は少ない。これは、
ギリシャ神話には既にアポロンと言う青年神が居たからだと
葡萄瓜は合点しています。ヘルメスも居ますし、人間ではエ
ンディミオンも居るでしょうし。
 そしてルネサンス以降を観ると、極端に幼児化が進んでい
る感があります。天使との混同も進んでいるのでしょうか。
段々と赤ん坊化している感が強いです。カラヴァッジオの描
き方はまだ年嵩な方でしょう。

 さて、彼の年齢をどう表現するべきか。
 彼が多くの場合幼児で描かれているのにはおぼろげな仮説
があります。
 彼の元々の姿、エロスと言うのは『愛欲』です。愛ではあ
りますが、理性を持ち合わせていないのです。その狂気と幼
児の無邪気な悪意がふと重なったのではないのかな、と。
 葡萄瓜個人では彼の外見は年齢で言うと12,3歳。思春期に
入りかけた辺りを想定します。少々大人ぶりたい心の芽生え
る年頃でしょうか。愛に関する好奇心も芽生える頃か、と。

 彼を中心に置いてやおいを書こうとしたら、やっぱり彼は
ショタになるんでしょうか?(苦笑)