資料の漣 少年?青年?〜ダヴィデ像に思う〜
(2003.2.10)

 読書録で読んだ本に刺激され、ふとダビデ王の肖像を
ネットで集めてみようと思いたった。
 で、肖像(と言うか、彫像の画像)を集めてハッと思
った。
 『ダビデ王って、当時何歳やったんや?』と。
 
 とりあえず画像を参照して戴いた方が良いだろうと思
い、参考ページにリンクを引かせて戴いた。
(流石に画像転載と言うのは考えにくいんで)

ドナテッロ作(旧:着衣、新:裸像)&ヴェロッキオ作
ミケランジェロのダビデ像

 さて、この彫像で描かれている場面を旧約聖書で確認
するならば、サムエル記に説かれる巨人ゴリアテを倒す
場面に相当する。
 そこでハタと考える。
 羊飼いの八人兄弟の子の末っ子として生まれ、敵対す
るペリシテ人との戦争に参加している兄達の安否を気遣
って野営地に着た…って事は、野暮な事言いますが、少
なくとも戦争に参加できる年齢ではないって事ですわね?
 確認の為に検索してみました。
 すると現代のユダヤ教の世界では13歳で男子は成人と
みなされるらしい。それに従って考えるなら当時ダビデ
の年齢はどう頑張っても12歳?
 そうなればまだ年齢的に近いのはヴェロッキオ作のブ
ロンズ像…成長が良くてドナテッロ作と言う事に…。
 ところが、もう一度検索するとモーゼの当時には成人
年齢が20歳らしいと言うデータもある様子。
 自慰の語源になったオナンも既に妻帯してもおかしく
ない年頃だったと言うから、15歳は確実に越してますわ
な。精通があるって前提が無いといけませんから。割礼
を済ませているからと言っても、現代より早く精通年齢
を迎えていた、とは考え難い。発毛の問題も勿論あるだ
ろうし。
 とりあえず日本の元服の考え方も含んで考えてみてみ
るなら、14歳辺りと見当を付けて良いのでは無いか、と
思う。とすれば、ドナテッロ辺りが妥当と言う事か。
 そこ等辺りからなら王の息子・ヨナタンとも友情は育
て易かったのかも知れない。少年から青年になる過程で
の、友愛とは言い切りがたい熱い感情の交流も。
 そうすると、ミケランジェロのダビデ像が表すものは
精神年齢だろうか?肉体的にはまだ少年であっても、気
概は青年であると言う事をあの肉体表現で表した…と思
うのは考えの暴走か(苦笑)
 それにしては肝心の部分が少年のままで変だ…と思う
のは、現代の価値観で見た結果論でしょうが。

 追記
  後日図書館にて新たに美術全集所収のダビデ像2体
 の写真を観る機会を得ました。
  
  『ゴリアテの首とダビデ』 
   ベラーノ,バルトロメ作/ブロンズ・金鍍金
   メトロポリタンミュージアム所蔵

  『ダビデ・アポロ』
   ミケランジェロ作/大理石
   パルジェッロ美術館(フィレンツェ)所蔵

  ペラーノ作は鎧を纏った10代後半の少年風。ミケ
 ランジェロ作の『ダビデ・アポロ』はダビデ風でもあ
 りアポロ風でもある未完成像。ですが敢えてダビデと
 して観るなら10代後半のやや青年風でありました。
  ダビデ像と言うとミケランジェロ作のものが代名詞
 として定着してしまっています。その背景に有った時
 代の気分は、一体なんだったのか、と俗人である葡萄
 瓜はつい妄想してしまう訳ですが(苦笑)
               (2003.2.15)

  2003.9.29追記
  参考迄にこちらのダヴィデ像の画像にもリンク
  して置きます。
  こちらは王になって以降のダヴィデ氏と言う事
  になりましょうか?